SM雑記 銀の月　～主従関係のススメ～

一般に、奴隷契約書には、奴隷の身分や行動のルール、
契約の期限（ほとんどの場合無期限）契約解除の権利について
（これもほとんどの場合、主だけが有するということ）
などが書いてあります。

奴隷としての自覚を促す効果や、行動を規定するルールとして
主従関係を明文化しておくためのものだということは理解できます。

それ以上に奴隷契約書というもの自体に甘美な響きがあり
奴隷とご主人様双方の気分を盛り上げる作用もありそうです。

そう考えると奴隷契約書を交わすカップルの方のお気持ちは
よくわかりますし、冒頭にも書きましたがそうされる方へ
否定的な気持ちは一切ありません。

ただ、それでも私はこの奴隷契約書というものを好きになれないし
これからそういった書類を作成することはないと思います。


理由は２つあります。

１つめは契約期限を定めることへの違和感
もう一つは、契約解除に関する権利をS側だけが有すると
明記することへの抵抗感です。

まず１つめ、
ほとんどの場合奴隷契約書の期限は『無期限』です。
まさか奴隷契約書に「１年ごとの更新制」や「３年限定奴隷」
なんてことは書けません（笑）
そんなことをすると雰囲気ぶち壊しですから。

どうも私は契約期限『無期限』と書面で定めることに抵抗があるのです。
もちろん奴隷や主の気持ちとして「この関係性をずっと長く続けたい」
「永遠に主と奴隷でいたい」と思うことは素晴らしいことです。

ただそれを契約としてしまった瞬間、それは願望でなく
「義務」や「権利」となってしまい、そこに不要な『甘え』や
『依存』が発生してくる可能性を私は感じてしまうのです。
（依存については『非日常へのこだわり』をご覧ください）


もう１つの理由についても同じような気持ちです。
大概の奴隷契約書には、主従契約の解除の権利は主だけにある
と明記してあります。
これもまさか「奴隷も好きなときに契約解除できます」とは書けません。

けれども、これも権利を主だけが有するとすることで
主側の不要な『甘え』や『依存』の元となるように感じます。

私は主従関係は一期一会の『真剣勝負』でありたいと思います。

次会えないかもしれない、主に捨てられてしまうかもしれない
奴隷が去ってしまうかもしれない、そんな可能性をお互いに
感じながら、それでも今この時を一生懸命に共に生きようとする。

そこに主従の輝きが生まれるのだと思っています。



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かつて、人間は非日常の時間や振る舞いをとても
重要視していました。

具体的には、非日常は
「イニシエーション（通過儀礼）」と
「フェスティバル（祭）」に大きく分類できます。

成人式や誕生日のお祝いはイニシエーションの例ですし、
夏祭りや、ハロウィンなどはフェスティバルですね。

現代でも、それらの通過儀礼やお祭りは形として
残っている部分もありますが、それらは形骸化し
本来の意味をなしていません。

つまり「生きていくのに本当に必要だから」していることと
誰も本気で思っていないということです。


例えば先ほど例に出した、「成人式」
子どもが大人になるための代表的なイニシエーションです。

かつては文化や国境を超えてこのイニシエーションは、
本当に大切な意味を持っていましたし、多くの場合
命懸けで乗り越えなくてはいけない試練や、強い痛みや努力
を伴う行動を意味していました。

みんなそういう非日常を乗り越えて一人前の大人になっていったのです。
その頃は、イニシエーションは人間の成長や変化にとって必要不可欠な
ものだと考えられていました。


またフェスティバルに関してもそうです。
お祭りの存在は、日常に活力と前進力を与えるものでした。

今でも、阿波踊りや岸和田だんじり祭りの地元の方たちは
「祭りのために生きている」と断じられる方がたくさん
おられるそうです。

けれども大多数の人にとって、祭りは
「日常を生きていく上で必要不可欠な要素」ではありません。


つまり、私たちはもともと持っていた「非日常の力」の
恩恵を受けることなく生きることを余儀なくされているのです。


私にとって、SMや主従関係はこの失われた非日常
つまり「イニシエーション」と「フェスティバル」そのものです。

非日常は日常をより良いものにするために存在しています。
そしてそのためには、日常と切り離されている必要があるのです。

そして、その価値を分かち合える女性と主従関係を結び
パートナーとして非日常を共に生きていたいと願っています。
また実際そういったパートナーにも恵まれています。

私の非日常へのこだわりの裏側についてのお話でした。
長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました。




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私は主（S性の高い人)の欲求は大きく

「育てる（変化させる）」ことと
「遣う（従わせる）」ことの２つに

分類できると思っています。

その二つのどちらに、比重があるのか、
またその二つの中身はどうなっているのかで
その人が好む調教スタイルが決まるのでしょう。

競走馬に例えるなら、主というのは
調教師の悦びと、ジョッキーの愉しみを両方得たいと
考える、欲深い存在と言えます（笑）

調教師の悦びは、馬の成長や変化にあります。
どれだけ素質のある競走馬でも、調教師の腕が悪ければ
レースに出ることすらできません。
逆に血統のよくない競走馬でも調教師の腕が良ければ
レースで勝つことも出来るのです。

馬の持っている素質を見抜き、その馬の良いところを
伸ばして成長させる。そこに調教師の悦びがあります。


一方ジョッキーの楽しみは、馬を乗りこなすことにあります。

レース中の短い時間の中で、にいかにその馬の限界を
引き出し思い通りのレースを展開するかが見せ場です。
言うまでもなく、思い通りのレースが出来て勝利した瞬間に
大きな充実感を感じることになります。


S性の高い主も、同じような悦びや、愉しみを自分の
パートナーに対して感じています。

ちなみに私は、「育てる」ことの比重が大きいタイプのSだと思います。
もちろんそうは言っても、「遣う」愉しみもこよなく愛していますが（笑）

今日のところはこのへんで。



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